2026年中に亡くなった人の遺産には、米国連邦遺産税の基礎控除として1,500万ドルが適用されます。そのため、多くの家庭は連邦遺産税を納める必要がありません。
ただし、税金がかからなくても、遺産計画は必要です。連邦の控除額を下回る家庭でも、受取人の指定、裁判所を通じた遺産手続き、州の遺産税や相続税、税務上の取得価額の調整、判断能力を失った場合への備え、手元資金の確保を考えておく必要があります。
生前贈与のルールは、2026年の贈与税の年間非課税枠をご覧ください。
2026年の連邦の控除額
| 項目 | 2026年の金額 |
|---|---|
| 連邦遺産税の基礎控除 | 15,000,000ドル |
| 贈与税の年間非課税枠 | 19,000ドル |
| 米国市民ではない配偶者への贈与に適用される年間非課税枠 | 194,000ドル |
連邦の遺産税と贈与税は連動しています。生前に多額の課税対象贈与をすると、死亡時に使える控除額が減ることがあります。
資産1,500万ドル未満でも計画が必要な理由
遺産計画で考えるのは税金だけではありません。十分な計画を立てるには、次のような実務上の疑問に答える必要があります。
- 財産を誰に渡すのか。
- 死後の財務管理を誰が担うのか。
- 判断能力を失ったとき、誰が代わりに手続きできるのか。
- 裁判所での遺産手続き「プロベート」を経ずに渡せる財産はどれか。
- 受取人の指定は最新の状況に合っているか。
- 相続人に、税金や費用、債務の支払いに必要な資金があるか。
- 未成年の子どもを守る仕組みがあるか。
70万ドルの住宅、退職口座、生命保険があり、子どももいる家庭なら、連邦遺産税の対象外でも、遺言書、委任状、事前の医療指示書を整え、受取人を確認する必要があるでしょう。
州の遺産税と相続税
州によっては、遺産全体にかかる税や相続人が受け取る財産にかかる税を独自に設けており、その課税の基準額が連邦よりはるかに低い場合があります。そうした州に住んでいる、州内に不動産を持っている、あるいは最近その州から転出した場合は、連邦の控除だけを考えていては不十分です。
州のルールは変わります。自分の遺産は少額だから関係ないと判断する前に、現行の州法を確認してください。
税務上の取得価額の引き上げ
多くの家庭では、遺産税よりも、将来の所得税を計算する際の取得価額が重要になります。現行制度では、相続した資産の税務上の取得価額を、死亡時の公正市場価値まで引き上げられる場合があります。これを「ステップアップ・ベーシス」といいます。
例えば、親が5万ドルで買った株式が、死亡時には30万ドルになっていたとします。相続人に引き上げ後の取得価額が適用され、その後31万ドルで売却した場合、課税対象の利益は26万ドルではなく、約1万ドルになる可能性があります。
そのため、家庭の事情によっては、大きく値上がりした資産を生前に贈与するより、死亡時まで保有するほうが有利です。贈与では、贈与した人の取得価額を引き継ぐことが多いためです。
配偶者への未使用控除額の移転
「ポータビリティ」という制度により、生存配偶者が、亡くなった配偶者の未使用の連邦遺産税控除額を使える場合があります。ただし、実務上は自動で適用されるわけではなく、制度を選択するために遺産税申告書の提出が必要になることがあります。
多額の資産、急成長している事業、不動産、生命保険がある夫婦は、先に亡くなる配偶者の遺産が控除額未満であっても、遺産計画に詳しい弁護士に相談しておくとよいでしょう。
受取人指定が遺言に優先する場合がある
退職口座、生命保険、死亡時支払指定口座や死亡時移転指定口座は、指定された受取人に引き継がれるのが一般的です。その指定が遺言の内容に優先することもあります。
次のような出来事があったら、受取人指定を見直してください。
- 結婚したとき。
- 離婚したとき。
- 子どもが生まれた、または養子を迎えたとき。
- 受取人が亡くなったとき。
- 大きな金額を別の口座へ移したとき。
- 別の州に引っ越したとき。
- 信託を設立したとき。
遺産をめぐる問題は、複雑な税法よりも、古いままの受取人指定が原因で起こることが少なくありません。
信託は超富裕層だけのものではない
信託は、プライバシーの確保、プロベートの回避、未成年の子どもの財産管理に役立ちます。連れ子のいる再婚家庭への配慮、障害のある家族のための備え、州ごとの課題への対応にも使えます。連邦遺産税の対策だけが目的ではありません。
もっとも、作れば必ず役立つわけではありません。対象の財産を信託に移し、口座名義や受取人指定との整合性を取る必要があります。財産を移していない信託は、費用のかかった書類にとどまるおそれがあります。
まとめ
2026年の連邦遺産税の基礎控除は1,500万ドルであり、ほとんどの家庭はこの連邦税を支払わずに済みます。それでも、財産の行き先を決め、税金やプロベートに対応し、判断能力の低下に備え、家族の負担を減らすために遺産計画は重要です。
連邦の控除額未満の家庭では、受取人指定の更新、希望の文書化、取得価額を踏まえた計画、州の遺産関連ルールの確認が、とりわけ有効な取り組みになることが多いでしょう。
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出典
- IRS:2026課税年度のインフレ調整
- IRS:遺産税・贈与税の最新情報
- IRS:贈与税に関するよくある質問